「限りある時間の使い方」という書籍を読んだ話
久しぶりに「これは」と思った書籍があったので、さらっと内容の紹介と感想をまとめてみたいと思います。内容を忘れないようにしたい、という思いでまとめたものなので、一部本質とずれているかもですが、悪しからず。
- はじめに
- 結論
- 「時間」は使うものでもコントロールするものでもない
- 「今」は未来のゴールにたどり着くための手段ではない
- 「生産性」を上げてもすべてのタスクはこなせない
- 「SNS依存」は人生の大切なことに使える時間を減らす
- 人生のあらゆる瞬間が「最後の瞬間」であることを意識する
- あきらめて、現実を受け入れる
- 問題がある状態を楽しむ
- まとめ
はじめに
今回読んだのは、「限りある時間の使い方」という本です。オリバー・バークマンというイギリス全国紙ガーディアン誌の記者で、心理学に関するコラムを執筆されている方だそうです。
本書は、よくある「いかに生産性を上げて、やるべきことを全部やり遂げるか」といったテクニック本ではなく、「時間は限られていて、コントロールすることはできない。そして、どんなに効率化を図っても、やりたいことは全部できない」という前提で、新しい生き方について考えるきっかけをくれる本だと考えます。
結論
というわけで、個人的に重要なポイントを7つにまとめてみました。
- 「時間」は使うものでもコントロールするものでもない
- 「今」は未来のゴールにたどり着くための手段ではない
- 「生産性」を上げてもすべてのタスクはこなせない
- 「SNS依存」は人生の大切なことに使える時間を減らす
- 人生のあらゆる瞬間が「最後の瞬間」であることを意識する
- あきらめて、現実を受け入れる
- 忍耐を身に着ける3つのルール
「時間」は使うものでもコントロールするものでもない
「時間」は周囲から切り離されたものではなく、生活そのものだとオリバーさんは言います。前者は、時間はベルトコンベアのようなものと考えて、そこに「やること」という容器を積んでいくようなイメージです。おそらく、仕事の計画等を立てるときに、多くの場合このようにスケジューリングするのではないでしょうか。しかし、これでは「容器」が多すぎると疲れてしまい、「容器」が少なすぎると時間を無駄にしたと感じます。ベルトコンベアにちょうど良いペースで容器を詰めた時にだけ、時間をコントロールできている、と感じるだけです。
時間が生活そのもの、という意味については、色々と本書で書かれていますが、疲弊しないためには、まずは「やること」を「時間」に割り当てる考え方をやめた方が良い、というくらいに解釈しました。
「今」は未来のゴールにたどり着くための手段ではない
この本で再三主張されているのが、「今」を生きようということです。一般的には、何か人生の最終目標のようなものがあり、そのために今があると考えてしまいがちです。例えば、いつか仕事がひと段落したらリラックスして旅行にでも行こう、後で楽しむために今は我慢しよう、といった考え方です。
しかし、これは「今」という時間を犠牲にした考え方だとオリバーさんは主張しています。この考え方では、計画が予定通りいくか心配で心が休まることもなく、「今」をもっともっと効率化・高速化しようと考えてしまうようになります。
本来、過去は過ぎ去ったもの、未来は不確定なものなのだから、最も大事にしなければならないのは「今」のはずです。
「生産性」を上げてもすべてのタスクはこなせない
なんといっても、実はこの著者のオリバーさんは「生産性オタク」だったそうです。日々、膨大な量のタスクを様々なタイムマネジメントを駆使してコントロールしようとしていたそうです。
しかしある日、どんなに生産性を上げてもタスクがなくなることはないし、何も心配事の無い平穏など訪れないことに気づいたそうです。そして、その事実を受け入れることで気持ちがすっと楽になったそうです。
生産性を上げて、何とかToDoをやり切ろう、と日々考えていた私にとっては受け入れがたい事実でしたが、確かに、自分にも心当たりがあります。やればやるほど仕事は増えるし、心配事も増えてしまいますよね。。
「SNS依存」は人生の大切なことに使える時間を減らす
人間の注意力には限りがあるので、SNSの使い方に気を付けるべきだ、ともオリバーさんは主張しています。自分の人生を振り返ったときに思い出されるのは、SNSでタイムラインに偶然流れてきたしょうもない動画ではなく、「注意を向けたもの」であるという考えです。
一方で、SNSはユーザの注意を惹くようにあらゆるテクノロジーが駆使されています。頻繁にSNSに注意を削がれる状態では、人生で自分が大切と考えること(家族とレジャーに出かけたり、仕事を頑張るなど)に注力できません。私もかかわり方を見直そうと思いました。
人生のあらゆる瞬間が「最後の瞬間」であることを意識する
文字通りです。考えてみれば当たり前ですが、意外に出来ていないことだと思いました。子どもの成長に日々感動したり、友達と食事をしたり、部活や仕事を頑張ったりすることにも、全て終わりがあります。ですが、終わりがあるからこそ、全てが貴重な瞬間なわけで、もっとそれを大切にすべきです。
未来のためのに今を有効に使う、という考え方が染みついてしまうと、これらの貴重な瞬間の尊さに気づけないかもしれないと思いました。
あきらめて、現実を受け入れる
本書を読み進めるにしたがって、私の中に疑問が浮かびました。「結局、どうすれば良いの?」ということです。
時間がコントロールできないことは分かりました。そして、「今」は、未来の目標のために効率よく使うものでなく、人生の中で大切だと思うことに向き合う時間だということもわかりました。ですが、実践するためにどうしたらいいのか、ということです。
このためにすべきことはただ一つ、苦痛を現実を受け入れることです。・・・はい。これだけでした。ウルトラC的な解決法を期待した自分が恥ずかしいです(笑)
本書には、他にもこのようなことが書かれています。物事には必要なだけの時間がかかります。なので、やりたいことに向き合っているときはそれ以外は我慢しよう、ということです。これにより、忍耐力が身に付き、大切なことに向き合えるようになると書かれています。
実際のところ、素晴らしい考え方だと思いました。例えば、本を読みたいとします。しかし、SNS依存の私はすぐにSNSを見たくなってしまいます。そこで、見るのを我慢します。そうすることで、本を読むことをより楽しめる、といった具合です。子育てや仕事など日常のあらゆる場面で応用できる考え方だと思いました。
問題がある状態を楽しむ
忍耐力を身に着けるためには、問題がある状態を楽しむことが重要だとオリバーさんは主張しています。実際は、ほかにも二つ並列されていますが、私にとってはこれが特に重要だと思いました。
問題とは「取り組むべきこと」と言い換えることができます。したがって、問題がない状態とは、「何もやることがない状態」です。人生にはそんな状況はないので、それぞれの問題に必要な時間をかけるプロセスを楽しむ方が良いという考え方です。
私は、何か問題がある(あるいは問題が生じそうだと)と、すぐにでもそれを取り除こうと躍起になってしまいがちです。そして、問題が一向に無くならず焦ります(笑)。でも、そもそも問題があるのが人生だと思えば不安は減りそうです。この言葉を肝に銘じようと思いました。
まとめ
今までは、どうしたらやるべきことを全部できるか、と考えてしまっていましたが、その考え方は誤りだったことに気付きました。会社の雑務など、どうしてもやらなきゃならないけどやりたく無いことは、やはり効率化を図る必要があると感じますが、普段から、大切なことに時間をかけることを強く意識しようと思いました。